140702 就業形態の変化 -近年の動き

 変化の二つ目は、コンビニエンスストアの営業時間短縮や、宅急便配達員の労働時間短縮にみられるような、業務やサービスの縮小、変化です。戦後の一時期を除けば、高度経済成長期から安定期、バブル経済期を経て今日まで、第3次産業が発達しました。第3次産業の中心となる産業は労働集約的な対人業務です。収益性が高くないために、低賃金となる場合もあります。第1次産業はもちろん、高度経済成長期の前半は、第2次産業も労働集約型産業でしたが、技術発展によって、とりわけ第2次産業のほとんどの部門では労働よりも機械設備・機器に依存して活動する資本集約型となりました。

 労働集約型産業を担ったのは、かつては若年層でした。しかし若年層も加齢・成長して年功序列に従って昇格や昇給をします。雇用コストを抑制するために、アルバイトなどの非正規雇用者が労働の中心となりました。しかし非正規雇用者の確保自体も難しくなると、雇用コストが抑制されるなか、正規雇用者の賃金抑制と、外国人労働者の雇用が新たな選択肢となっていきました。さらに今日の産業構造を維持するには、雇用できる人材の数に限界があることが明らかになってきています。

 高度経済成長期までの人材供給源は地方部や出稼ぎ労働者でした。地方部の出生率が高い間は地方部に頼ることが可能でしたが、若年層の流出によって地方部は活力を失い、若年層自体が減少しました。その後アルバイト・パートに依存するようになりましたが、アルバイト・パートが若年層の就業形態として定着すると、彼ら自体が社会的な不安定要因となり、少子化を加速するようになってきました。今日では外国人労働者が期待されていますが、日本人就業者のこれまでの経過を繰り返すならば、同様の問題が生じる可能性もあります。

 業務を機器やAIに肩代わりしたり、例えば宅配便の受け渡し方法を効率化するなど、運営方法の工夫が模索されています。従来の業務をこれまで通りの方法で人が行うか、人手不足を機械や運用方法で解消するか、あるいは業務自体を見直すか、大きな変革が求められています。


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