1306 少子高齢化と人口減少

 65歳以上の人口率は、1950年代に5%程度でしたが、高齢化は当時の予測を超えて進行し、2005年に20%となりました。その原因である少子高齢化は全国一律に進行したのではなく、地方部では若年層が流出したために高齢化が進み、都市部では若年層の晩婚・未婚化などによって少子化が進みました。高齢化は日本人の長寿化によってもたらされ、若年層の晩婚・未婚化は、都市的生活スタイルが地方部に浸透するにつれて、都市部から地方部に広がっていきました。

 
 図 高齢化の推移

 人口千人当たりの出生率は1950年代から1970年代前半まで20人弱でしたが、その後低下し続け、2000年代に入ると9人を割り込み、2005年には千人当たり死亡率に逆転されました。高齢者比率が高くなり、人口が減少してきました。

 合計特殊出生率は、戦後下がり続け、2005年に1.26の最低値を記録しました。出生直後の0~4歳人口は1950年代にはほとんどの都道府県で減少しました。高度経済成長期の1960年代に都市部で0~4歳人口が増加しましたが、これは、若年層が都市部に流入したことに原因があるとみられます。また高度経済成長期直後の1970年代前半には全国的に増加しました。しかしその後は、若年層が相対的に多い都市部で一時的に増加する以外、出生率は低下傾向にあります。合計特殊出生率は、2010年代には1.4前後を維持したものの、低い水準であることには違いありません。

 
 図 15-49歳人口率と合計特殊出生率(全国)

 出産年齢とされる15~49歳の人口率と、合計特殊出生率との2015年時点での関係をみると、都市部では15~49歳人口率が高いにもかかわらず合計特殊出生率が低い傾向にあります。都市部の典型は東京都です。15~49歳人口率は47%で全都道府県の中でもっとも高く、合計特殊出生率は1.24でもっとも低くなっています。都市部では、転入などもあって若年層が多いのですが、それにもかかわらず出生が抑制されています。

 
 図 15~49歳人口率と合計特殊出生率(2015年)

 逆に地方部、なかでも九州地方、山陰地方では15~49歳人口率が低くて合計特殊人口率が高くなっています。島根県は、15~49歳人口率は35%ですが、合計特殊出生率は1.78と高い数字です。九州地方、山陰地方などの地方部では、若年層が少ないながらそれなりの出生数がみられますが、自然減少も多いために、人口増加にはなりません。

 以上のような都市部-地方部の対比以外に、両者ともに高率であるのは沖縄県です。沖縄県では出生数があまり減少していません。逆に、ともに低率であるのは秋田県を筆頭に、青森県や山形県などの東北地方です。秋田県などでは、戦後一貫して人口減少が顕著です。前者では人口増加の可能性があり、後者では人口衰退が進行すると推定されます。

 なお東京都では、1980年代から1990年代に出生直後の0~4歳人口が減少しましたが、2000年代からもちなおし、2010年代には子供のいる核家族数の増加、合計特殊出生率の上昇とともに、増加に転じました。2010年代に出生数が増加したのは、東京都のほかには沖縄県だけです。


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