0704 世帯の小規模化

 世帯の小規模化は、戦後一貫した傾向です。普通世帯の規模は全国平均で、1950年と1955年に4.97人でしたが、1965年に4.05人、1975年には3.45人、さらに1995年2.88人、2015年に2.36人となりました。1世帯当たりの人員は、1950年では世帯人員が6人以上の世帯が38.4%でしたが、1960年30.4%、1970年14.3%と縮小していきました。

 この間で小規模化が著しかったのは1960年ごろから1975年ごろの、高度経済成長期で若者が都市部に急激に移動していた時期です。都市部と地方部の小規模化の原因は表裏の関係にあります。都市部では若年単独世帯の転入による小規模化であり、地方部では若い世帯員の転出による小規模化です。

 普通世帯1世帯当たり人員は東京都では1955年に4.53人でしたが、1965年に3.47人、1975年には2.9人となりました。小規模化は地方部でも同様に進み、1955年に世帯規模がもっとも大きかった宮城県でも、5.75人が1975年には3.74人となりました。

 
 図 都道府県別平均世帯人員

 高度経済成長期に増加したのは4人世帯であり、1970年代には25%を越えました。しかし1990年以降は4人世帯の比率は10%台まで低下し、2000年に3人世帯が上回るようになりました。とはいえ、3人世帯数も20%弱に過ぎません。3人世帯を境として、それより多い世帯人員の世帯は減少し続けています。

 
 図 普通世帯の世帯人員推移

 増加が著しいのは単独世帯と2人世帯です。1960年代までは2人以下の世帯数は少なく、若い単独世帯は結婚までの、夫婦世帯は子供が生まれるまでの過渡的世帯形態、高齢の単独世帯や夫婦世帯は子供と同居するまでの過渡的世帯形態とみなされていました。しかし未婚率が上昇し、高齢者と子供世帯との同居が少なくなるにつれて、1970年ごろから増大してきました。

 一般世帯の単独世帯率は1955年には全国で4%にも満ちませんでした。しかし1970年に10.8%、1985年に20.8%、2000年に27.6%、2015年34.5%となりました。突出したのは東京都であり、1970年に20.6%となり、2000年に40.9%、2015年47.3%となりました。

 世帯の小規模化は子供数の減少だけでなく、親の片親化にも原因があります。夫婦と子供からなる核家族は1980年代までは4割を超えました。その後、絶対数は1,400万世帯強で大きくは減少していないものの全世帯数が増えているために1990年代から比率は低下しました。一方で女親と子供からなる世帯は比率が上昇し、世帯数は1970年149万世帯から2000年に303万世帯へと倍増し、2015年には405万人になりました。

 1979年度版「厚生白書」[*7-10]によると、母子家庭の発生原因は死別が最多で、離別が増加傾向にあり、未婚もやや増加しました。収入は全世帯平均の半額近く、就労形態が不安定なものも少なくないと報告されています。母子世帯に対しては1953年に施行された母子福祉資金貸付法や、1961年の児童扶養手当法、1964年に母子福祉資金貸付法を中心として施行された母子福祉法などがありますが、それが適用されたとしても厳しい生活条件にあるのは確かです。それにもかかわらず父子家庭とともに増加する傾向にあります。


前の目次項目へ        次の目次項目へ

前のテーマ項目へ  【テーマ:世帯とコミュコミュニティ】  次のテーマ項目へ