140705 自然災害の激化 -近年の動き

 変化の五つ目は、自然災害の増加です。日本は1995年の神戸・淡路大震災以降、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2019年には北海道胆振東部地震などの震災に見舞われました。これらの震災以外にも、列島各地で地震が発生しています。さらに、首都直下地震や南海トラフ地震が30年以内に発生する可能性が想定されています。

 気象災害も頻発するようになってきました。2011年の台風12号では、紀伊半島の一部で総降水量が2,000mmを超えて、死者が78名にのぼるなど甚大な被害が発生しました。2012年の九州北部豪雨や2018年の広島・岡山などでの豪雨でも記録的な雨量を観測し、河川の氾濫や土石流が発生し、多くの死者がでました。近年はほぼ毎年、台風や梅雨前線、低気圧などによる災害が各地を襲っています。2018年の台風21号では関西国際空港で最大瞬間風速58.1mを記録したほか、船舶が衝突して連絡橋が使用不能になり、滑走路にも浸水しました。2019年の台風15号は東京湾を北上し、50mを超える最大瞬間風速を記録しました。進路の東側の千葉県を中心として長期にわたる大規模停電が発生し、多数の家屋が損壊しました。同年の台風19号の被害もかつてない広域で、浸水被害等のかつてない被害をもたらしました。

 台風などによる降水量や風速は、年々激しさを増しており、気象情報として「50年に一度」「100年に一度」程度とされる豪雨や暴風が、日本だけでなく世界各地でほとんど毎年報告されるようになっています。そのような自然現象はもはや異常気候とは言えず、常態化する恐れもあります。これらは地球温暖化によってもたらされる気候変動と考えられており、北極圏の氷溶解やアルプス山脈など世界各地の氷河後退にみられるような地球規模の現象です。気候の変化とその影響は今後も継続し、さらに厳しくなる可能性があります。

 温暖化の進行を遅らせ、食い止めるための行動は当然求められますが、それとともに、生活者の立場としては、被災を最小限にするための工夫と、被災することを前提とした生活スタイルや環境、社会の仕組みを作っていくことが課題になっています。


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