1103 インターネットの普及-消費行動の変化

 通信方法の発達も生活や消費行動に影響を与えました。固定電話の加入者数は1990年代がピークでした。携帯型の電話は、1979年から自動車電話、1985年にショルダーホン、1987年に携帯電話が登場しましたが、利用者は一部に限られていました。しかし1990年代半ばになり、技術的に改良され、価格も低くなるにつれて加入者数は加速度的に増えてきました。

 1990年代後半に携帯電話のメールサービスが提供されるようになり、1999年に、インターネットに接続できるiモード携帯電話がNTT Docomoから発売されると、通信手段は固定電話から携帯電話へと置き換わっていきました。2000年には、携帯電話の加入者数が固定電話の加入者数を上回ります。その後も固定電話加入者数が減少する一方で、携帯電話加入者数は増加し続けています。とりわけ若年層では、固定電話を保有せずに携帯電話だけを保有するようになってきました。

 インターネットは、最初は研究機関の利用が中心でした。1988年にNTTがISDNサービスを開始したことによって、インターネットが一般に利用され始めました[*11-6]。1990年代半ばから、商用ネットワークの会社数や、インターネットに接続するプロバイダー事業者数、インターネット上の所属や住所(サイト)を表すドメイン数は急激に増加しました[*11-7]。

 インターネットの利用者は2000年前後から増加し、2002年には8割以上の世帯が利用するようになりました(通信利用動向調査)。2008年にAppleのiPhoneが日本で発売されると、スマートフォンが各社から続々と発表され、2012年にはスマートフォンの普及率が5割にまで達しました。日常生活においてスマートフォンは、PCに遜色のない機能と使い勝手をもつようになり、一部ではPCに取って代わるとともに、日常生活を大きく変えていきました。

 通信販売は、インターネットによって飛躍的に発達しました。1997年にインターネット上の仮想ショッピングモール「楽天市場」、1999年に「Yahoo!ショッピング」がサービスを開始し、Amazonは2000年にインターネットの書籍ストアを開設し、その後、取扱い品目を拡大していきました。インターネットによる商品やサービスの購入は、2002年には世帯数の5%程度に過ぎませんでしたが、増え続け、2018年には40%に迫っています[*11-8]。インターネットショッピングは、あらゆる商品を一覧可能で、最安値に近いネットショップを利用できるために、多くの消費者に歓迎されました。またインターネットを使った個人の情報発信が容易になると、個人的に製作した商品や保有物の取引を、個人同士でできるサービスが提供されるようになりました。

 インターネットを通した2018年の購入内訳は、旅行関係費が24%、食料14%、衣類・履物11%、電気製品が6%程度[*11-9]で、競合関係にある既存の小売店にとって脅威です。さらにインターネットショッピングなどの通信販売の配送には宅急便が使われます。宅急便の総取扱量は1998年の18億個から、2017年には43億個に急増しました[*11-10]。その一方で、世帯の小規模化や共働き世帯、単独世帯の増加によって留守の世帯が増加し、再配達が多くなりました。配送ドライバーなどの負担が過重となる事態が生じました。


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