1303 分譲マンションの空き家化

 分譲マンションの老朽化、空き家化が2000年ごろから問題となってきました。分譲マンションは1970年ごろから急速に普及しました。分譲マンションの屋上防水や外壁、給排水設備などは計画的・定期的な修繕・改修が必要であり、1戸あたり数百万円の費用がかかる場合もあります。管理組合が資金計画や修繕計画を的確に行うことが不可欠です。さらに、居住者・所有者が複数ですので、建物修繕などを行うには、合意形成と関係者全員の協力が必要です。ところが築年数の長い分譲マンションでは、建物自体の老朽化や陳腐化、居住者の高齢化などさまざまの理由で適切な管理を行えず、劣化が進む物件があらわれるようになりました。それにともなって、一部で賃貸化や空き家化が進みました。

 国土交通省が新設住宅数から推計した分譲マンション戸数と、「住宅・土地統計調査」の共同建て持家数(世帯数)を比較すると、1998年に334万戸に対して283万戸、2013年には601万戸に対して547万戸です。1998年以降、両者には10%前後の差があります。その差の一部は賃貸住宅として使用されており、他は空き家であるとみられます。

 
 図 分譲マンションの戸数と、空き家または賃貸化の比率

 2008年7月から連載が始まった朝日新聞の「わが家のミカタ-スラムかスクラムか」[*13-6]は、管理が破綻し、荒廃するマンションが増えていることを指摘するとともに、分譲マンション管理が成功した事例も紹介しています。マスコミや専門家の指摘にもかかわらず、分譲マンション管理が十分に改善されたとはいえません。2016年11月24日の毎日新聞[*13-7]には「建物も住民も-急増する管理不全マンション-自治体、専門家派遣し支援」の見出しで、管理不全マンションが全国で増加していることを伝えています。


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